中断していた爆音上映作品リクエスト投票についての実行委員会としての結論が出ましたのでお知らせします。

まず、今回の上映作品リクエスト投票、及びリクエスト作品の上映は中止することにしました。
もちろんリクエスト投票はこれが最後ということではなく、今年は実行委員会の預かりということで、来年への課題とさせてください。
来年からは、違う形でのリクエスト投票を行なっていきたいと思います。

今回の投票中断から中止にかけての状況を説明します。

まず背景にあったのが、『愛のむきだし』『扉の向こう』の2作品による加熱したリクエスト合戦でした。
中断するまでの得票数を見ていただければお分かりのように、2作品とも1,000票を越え、他の作品を遥かに引き離しての数字となっています。
これまでの爆音映画祭のリクエスト投票ではあり得なかった数字でもあります。

リクエスト投票は爆音映画祭を愛する方達のための「お遊び」であり「お楽しみ」として存在してきた、というのが私たち実行委員会の認識でした。
爆音映画祭の中の中庭的な空間と言ったらいいでしょうか。
単にその作品を見たいということだけではなく、皆がひといきついてリラックス出来るとともに思わぬものに出会うことも出来る、大らかで柔らかな場所。

したがって実行委員会は常に、投票は数ではないということをアピールし続けてきましたし、実際に、投票下位作品の中から、投票数とは関係なく上映作を選んでも来ました。
予備投票でコメントを書いてもらうのも、そのためでした。

つまり爆音映画祭におけるリクエスト投票とは、いかにひとりの声が多数をとらえることができるかという、その一点に賭けられていたとも言えると思います。
今回の問題が判明する前においても目にすることの出来たツイッター上などでの過熱気味の発言のいくつかは、リクエスト投票自体が本来の在り方とは遠い場所に来てしまったことを実感させるに十分なものでした。

ただそれは、誰が悪いとか誰の責任ということではなく、クリックひとつで参加出来るということの便利さに問題があるのだと思います。
こういったボタンひとつによる投票システム自体がそういった状況を呼んだのであり、その便利さこそが「不正」である。
そのことをはっきりとお伝えしたいと思います。

昨年末に行なった「アンストッパブル・ツアー」は、まさにそんな便利さへ中指を突き立てる爆音上映としてありました。
したがって爆音映画祭実行委員会としてはまずなによりも、この投票システム自体に対して「NO」と言うところからやり直すしかないという結論に達したのです。

具体的な問題として、どんな不正投票だったのかというと、ひとつのIPアドレスからは1票しか投票出来ないようにするこちらのシステムを何らかの方法で破り、一定時間ごとに1票を自動的に投票するシステムによって相当数の投票がなされていた、ということになります。

そのことが発覚した後、投票を受け取るこちらのアドレスを変えてみたのですが、変えた直後は一時的に定期的な投票がなくなるものの、少し経ってこちらのアドレスが見つけられると再び一定投票が始まるという繰り返しが何度かあったため、こちらのシステムではこれを防ぐことができないと判断して中断を決定したのです。

つまり今回のシステムによる自動的な投票は、おそらくひとりかごく少数の人間の操作によるもので、投票したその他多くの方たちは結果的にその巻き添えを食らってしまった、という形になります。
もちろん、不正投票された作品こそが一番の被害者かもしれません。

上映を願ってリクエスト投票された多くの方、そして作品が、こんなことで傷ついてしまうのはまったく不本意です。
したがって、今回はどの作品に不正投票があったのかは一切お知らせしないことにしました。
発表しないことでいろんな憶測が飛び交うかもしれませんが、そんな憶測をする方達こそが不正である、というのが実行委員会の立場です。
ただひたすら、リクエスト投票は形式的に投票数で選んではいるが、数の問題ではない、ということだけをお伝えしたいと思います。

そして今回の2作品の上映を願って投票された方たちのために、今後何らかの方法で両作品を上映する機会を探っていきたいと思っています。
まだ不確定ではありますが、確定した場合には爆音映画祭のHP、FB、ツイッターなどでお知らせしますので、そのときをお待ちください。

来年以降もリクエスト投票は続きます。
どんな形でやるか、どのように作品を決定するかは、1年後に。
誰もが楽しめて、思わぬ出会いがあるリクエスト作品上映になるよう智慧を絞ります。
お楽しみにお待ちください。

そして何よりも、今年の爆音映画祭に是非、ご来場ください。
今年は昨年までははっきりと違った特集上映や、通常では上映出来ない作品の権利を取得し、そして爆音映画祭の独自の字幕をつけての上映など、かつてないスケールの映画祭になっています。
見たことのない驚きと喜びに溢れていると思います。
5月末からの約1週間、バウスシアターでお待ちしております。

爆音映画祭実行委員会代表 樋口泰人