切断された耳を拾ったことから始まるリンチ流不条理劇。 デニス・ホッパーをはじめとする怪優たちの怪演が、底知れぬアメリカの深みへと、我々を誘う。 そこに広がるベルベットのような青い空に、爆音が鳴り響く。

拳を打ち合うべく結成された「ファイトクラブ」。いつしかテロリスト集団と化した彼らは、資本主義の撹乱を目指すようになるが……。 テーマ曲はピクシーズの「Where is my mind」。すべてが爆音の中にある。

出演者を見るだけで黒人音楽ファンは涙腺が緩むはず。 イケイケのJBやアレサ、キャブ・キャロウェイ、レイ・チャールズ、チャカ・カーン！ そのご機嫌なサウンドと果てなきばか騒ぎとをブラザースと一緒にお楽しみあれ。

ゆらゆら帝国結成20周年記念ライヴ。緩やかに大らかに、激しく空気を揺らす、ディスクに収まりきるはずもない彼らの音楽。 東京の空と街に向かって演奏されるそれは、さらにその先へと視界を広げる。

それぞれの時空を生きる4人の男女が不意にすれ違う。たったそれだけのアクションから紡ぎ出される、 かくも瑞々しい夏のドラマ。蓮沼執太による思わず口ずさみたくなる音楽が、そこではないどこかへと我々を誘う。

山口情報芸術センター主催「架空の映画音楽のための映像コンペティション」のため作られた 『5windows』の“山＝mountain、口＝mouth” 編。山口市内の風景を儚なげに彩るのは青葉市子のハミング。

恋人たちの微妙な心のすれ違いを繊細に綴った心理劇。監督を務めたのは人気若手俳優の染谷将太。 渡邊琢磨による静謐かつ時空を超えた音楽が、この無声映画的な味わいの作品にミステリアスな花を添える。

ロック界の帝王に、顔と恋人と曲を奪われた作曲家がファントムとなり復讐する。 「オペラ座の怪人」がロックミュージカルとして蘇り、ホラー、ファンタジーと融合したカルトの傑作。念願の爆音上映。

現代でひっそりと生きる吸血鬼たちの物語。奥ゆかしいドローンメタルが流れる中、 地球の回転とレコードの回転が重なり合うファーストシーンから凄まじい。そう、地球とは１枚のレコードなのだ。

中原昌也セレクトで一度だけ爆音上映され、観客を唖然とさせた怪作が再登場。 いち早くドルビー・システムを採用したスコリモフスキが神経を刺激するノイズと音のない爆音で生み出した“幻響” 映画。

年齢も立場も違う11人の人格を演じながら白いリムジンでパリを移動し、 依頼主からの指示を遂行していく主人公。その姿を実験的な映像と狂暴な音響とともに描くカラックスの13 年ぶりの長編監督作。

カナダの怪童、X・ドランの3作目。物語の強烈さをさらに増幅させる編集と音楽の大胆さ。 若き日、誰もがこんな映画を夢見たのではないだろうか。ひとことで言えば 「パッション」。この篤い魂を受け取ってほしい。

アメリカ郊外に暮らす三人の中年男女。ある事件をきっかけに彼らの隠された過去が浮び上がる。 アメリカの鬼才が15年かけて完成させた執念の作品。生々しく録音された「ダニー・ボーイ」など数々の歌が、悲しみを響かせる。