映画祭事務局セレクション
地球の悲鳴、宇宙の雄叫び。映画の音のすべてがここに
宇宙戦争
5/30(日) 18:05   6/5(土) 21:00
2005年/116分/35mm/アメリカ
提供:パラマウントピクチャーズ ジャパン
監督:スティーヴン・スピルバーグ
出演:トム・クルーズ、ダコタ・ファニング
 
活劇とは何か?それは気体が個体へと相転移する一瞬の運動 である。だとすればその反対は何と名づければよいのだろうか? この世には、見てはならないもの、聴いてはならない音が あると父親は囁き、だから目隠しで視界を閉ざし、耳をふさい で、父さんが知らなかった子守唄でも歌ってなさいと娘に 命じる。それにしても、まだあどけない少女が自分を眠り に誘うべく、涙まじりの震えた声で子守唄を歌うこのシー ンに立ちこめる陰惨さはただごとではない。だから、この とき父親の犯す暴力が画面から排除されているとするのは 早合点だ。音楽の高まりとともに、かくも陰惨な父親によ る娘への暴力が画面を震え上がらせているからだ。この暴 力が終わり、あたりに張りつめていた空気が一瞬にして気 体へと昇華したあとに訪れる沈黙。さんざめく爆撃音がいっ さい聴こえない束の間のこの沈黙はしかし、安息とは程遠 い。この居心地の悪さを何と名づければよいのだろうか?
湾岸労働者であるレイは、別れた妻に 引き取られたふたりの子供たちと過ごす休 日、不可解な稲妻を目撃する。それはなん と有史以前から地底に埋められていた宇宙 人たちを覚醒させる一撃だったのだ。破壊 の限りを尽くす宇宙人らによって無法地帯 となり果てた世界で、なす術もなく逃げ惑 う地球人にハッピーエンドは訪れるのか?
人間を灰にするレーザービームを放つ宇宙人の破壊行為。突然、猛スピードで画面を横切る火だるまの電車。