映画祭事務局セレクション
現代日本ではもはやありえない渾身のカーチェイス!
暴走パニック 大激突
6/4(金) 11:50   6/6(日) 21:00
1976年/35mm/85分/日本
提供:東映
監督:深作欣二
出演:渡瀬恒彦、杉本美樹、小林稔侍
 
「ワイらの仕事は、スピードが命や!」と冒頭で喝破される ように、ブラジルへの逃避行を夢見て銀行強盗を繰り返す 渡瀬恒彦と小林稔侍の乱雑をきわめた手口のスピードは申 し分ないし、そのスピードは荒々しく揺れる手持ちキャメ ラと、容赦なく細切れにされた編集によってさらに加速す るだろう。しかし、そのスピードは最初の大激突であえな く断ち切られ、それからはまるで滞留する時空に迷いこん だかのように失速を余儀なくされる。実際のところ、逃避 行は遅々として進まず、行きつ戻りつを繰り返すばかりだ。 しかしこの滞留する時空の迷宮を彷徨うはめになった者た ちが、一堂に会して演じる最後の大激突は圧巻である。そ のスラップスティックな大激突は、性別だの人種だの階級 だのを木っ端微塵にふっ飛ばし、かくもアナーキーなユー トピアを出現させる。
名前を見ただけで眩暈のするような70 年代 東映裏オールスターキャスト! ギャング ややくざや警察や民間人が入り乱れてのド タバタは、「暴走パニック」としか形容しよ うがない。そのスピード、展開、物語の連鎖。 銀行強盗から始まった物語が偶然と必然と 気まぐれと信念を道連れにしながら行き着 く先は?
革命の代償行為としての暴走!老若男女問わない、アナーキーの祭典!これを爆音で観ずに何を観る?東映劇伴のファンク炸裂に期待! (中原昌也)