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□ 『レディ アサシン』爆音レイトショー
特集「オリヴィエ・アサイヤスとアメリカの友人たち」     2008年8月3日〜

『レディ アサシン』 Boarding Gate
2007年/106分
監督・脚本:オリヴィエ・アサイヤス
撮影:ヨリック・ル・ソー
音楽:ブライアン・イーノ、ロバート・フリップ、スパークスほか
出演:アーシア・アルジェント、マイケル・マドセン、ケリー・リン、キム・ゴードンほか
提供:タキ・コーポレーション
配給:boid

世界に見捨てられた孤児のような耐え難い孤独の中で、新たな道を歩み始めるミュージシャンであり母親を演じたマギー・チャンを、04年のカンヌ映画祭主演女優賞に輝かせたオリヴィエ・アサイヤスの『CLEAN』。
その3年後に作られた『レディ アサシン』では、西洋世界の中のたった一人のアジア人という構図が反転、香港(アジア)の中でたった一人の西洋人としての主人公が路頭に迷う。
頼るものも信じられるものもなくした女が孤独な戦いを挑むのは、自らを疎外する目に見えないシステム。
性とマネーとドラッグとインターネットの情報とが織り成すグローバルな世界に向けての戦いは、一方でそのまま自らの内なる何かとの戦いともなっていく。
最大のシステムとの戦いは常に最小の闇との戦いでもあるのだ。
あまりに小さく、弱々しい戦い。
その小ささと弱さを全身で引き受けて、彼女は歩を進める。
彼女の前に「搭乗口」が現れることはないが、しかしその戦いの孤独な震えこそ世界に向けての「搭乗口」となることが、彼女の戦いと共に明らかになっていく。 静謐な胸の高鳴りともいえる音楽は、『CLEAN』に引き続いてのブライアン・イーノ(「ミュージック・フォー・エアポート2」)の他、フリップ& イーノ、そしてエンディング・テーマにはスパークスの「No.1 Song in Heaven」。まさに「搭乗口」の向こう側とこちら側で鳴り響く音楽が、主人公のかすかな希望を歌い上げる。 主人公を演ずるのはアーシア・アルジェント。もはや若くはない主人公の、「失われてしまった若さの名残」ともいえる傷跡をもつ肉体を、堂々と演じ る。その彼女の若さを奪った、相棒でもあり敵でもある男には、マイケル・マドセン。そして『デーモンラヴァー』の音楽を担当したソニック・ユースのベーシ スト、キム・ゴードンが「女優」として参加している。




『クリーン』 Clean
2004年/114分
監督・脚本:オリヴィエ・アサイヤス
撮影:エリック・ゴーティエ
音楽:ブライアン・イーノ、デヴィッド・ローバックほか
出演:マギー・チャン、ニック・ノルティ、ベアトリス・ダル、トリッキーほか
提供:株式会社シネフィル

ミュージシャンの夫を亡くし、絶望の淵に立った女性がカナダ〜フランス〜アメリカと彷徨いながら、離れて暮らす息子、義父との心の交流を通して、自ら歌い始めるまでを描く。
日本最終上映。




『デーモンラヴァー』 Demonlover
2002年/120分
監督・脚本:オリヴィエ・アサイヤス
撮影:ドニ・ルノワール
音楽:ソニック・ユース、ジム・オルーク
出演:コニー・ニールセン、シャルル・ベルリング、クロエ・セヴィニー、ジーナ・ガーションほか
提供:東北新社

企業買収の裏で暗躍する女スパイ。事態は彼女の思惑通りに動いているかに見えたが、ひとつの殺人をきっかけに彼女は罠に落ちていく。無機質な大都会の風景やポルノ映像、そしてソニック・ユースのノイズまでもが渾然一体となった現代のフィルム・ノワール。



『冷たい水』 L'Eau froide
1994年/92分
監督・脚本:オリヴィエ・アサイヤス
撮影:ドニ・ルノワール
音楽:ニコ、ジャニス・ジョプリンほか
出演:ヴィルジニー・ルドワイヤン、シプリアン・フーケ、ラズロ・サボ、ジャッキー・ベロワイエほか

1972年の冬のある日。日常のすべてに鬱屈を抱える少女が同級生の少年を連れ、森の奥へ逃げ出す。ジャニス、CCR、アリス・クーパーなど、当時のアメリカン・ロックの響きが少年・少女たちの躍動や焦燥感と分かちがたく結びついている稀有な映画。日本劇場未公開作。



『アメリカの友人』 Der Amerikanische Freund
1977年/126分
監督・脚本:ヴィム・ヴェンダース
原作:パトリシア・ハイスミス
撮影:ロビー・ミューラー
音楽:ユルゲン・クニーパー
出演:デニス・ホッパー、ブルーノ・ガンツ、ジェラール・ブラン、ニコラス・レイほか
提供:フランス映画社

血液の病に侵された額縁職人が、謎のアメリカ人画商に出会ったことで、殺人を請け負うことになり……。ヴェンダースがロードムーヴィー三部作の後に撮った犯罪活劇。レイだけでなく、フラー、シュミット、ユスターシュといった多くの“友人”が顔を見せる。



『ドッペルゲンガー』
2002年/107分
監督:黒沢清
脚本:黒沢清、古澤健
撮影:水口智之
音楽:林祐介
出演:役所広司、永作博美、ユースケ・サンタマリア、柄本明ほか
提供:ショウゲート

ある日、人工人体の開発に没頭する研究者の前にもうひとりの自分=ドッペルゲンガーが現れる。己の意志で操る人体と己の意志通りに動かない分身によって彼は大騒動に巻き込んでいく。黒沢清流スラップスティック・コメディ。



『レイクサイド マーダーケース』
2004年/118分
監督:青山真治
脚本:青山真治、深沢正樹
原作:東野圭吾
撮影:たむらまさき
音楽:長嶌寛幸
出演:役所広司、薬師丸ひろ子、柄本明、豊川悦司ほか
提供:東宝

中学受験の勉強合宿のために湖畔の別荘に集った3つの家族と塾講師。そこにひとりの女が訪れたことによって不可解な殺人事件が起きる。事件を隠蔽することを選択した親たちの葛藤がダイナミックな手法で描かれる。
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