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□ 爆音で聴く映画の夜     2004年5月1日

スイッチを入れる、ボリュームを上げる、音が飛び出す
爆音が、耳ではなく身体全体を揺るがし脳を撹拌する
ロックはその爆音と共にある

そして映画も…? 例えば「クンドゥン」においてフィリップ・グラスの反復する旋律と共にチベット僧たちの読経の声が鳴り響くとき、「デッドマン」においてアメリカの大地に染み付いた血の幽かな匂いと共にニール・ヤングのギターが聞こえ始めるとき、
我々は自身の身体の変化に気づくはずだ。
我々はここにいる、しかし我々はそこにもいる。
音は映像の作り出す空間の輪郭を滲ませ曖昧にし、我々の身体をもなし崩しに綻ばせていくだろう。
そして爆音の中で限りなく不明瞭になった空間と身体が共鳴し、そこに更なる音が生まれるだろう。
我々はその幽かな音に耳をすますことにしよう。
それが爆音を聴くということだ。
そしてその時、スクリーンに映る映像はかつて見たものであると同時に、かつて見たことのない像となって我々を包み込むだろう。
映画を見ることが決して一方通行の体験ではなく、あくまでも双方向的な体験としてあることを我々は確信する。
爆音はそのためのスイッチである。
boid / 樋口泰人


『クンドゥン』 (1997年作品 135分)
監督:マーティン・スコセッシ
出演:テンジン・トゥタブ・ツァロン、ギュルメ・テトン
音楽:フィリップ・グラス
アメリカを離れたマーティン・スコセッシが描く、チベットのダライ・ラマの半生。フィリップ・グラスの反復音楽とチベット僧たちの読経とのアンサンブルが脳髄を揺るがし、その音の渦巻きがアジアの風景を天上の風景へと変える。

『ストレート・トゥ・ヘル』  (1987年作品 82分)
監督:アレックス・コックス
出演:サイ・リチャードソン、ジョー・ストラマー、エルヴィス・コステロ、ザ・ポーグス、デニス・ホッパー、ディック・ルード、グレース・ジョーンズ
音楽:ザ・ポーグス、ジョー・ストラマー、エルヴィス・コステロ(ザ・マクマナス・ギャング)他
スペインの砂漠に放置されたロケセットをそのまま使って撮影された、アレックス・コックス風マカロニウェスタン。何もない場所に何かが作られそして忘れられ残骸となったそこにたち現れる亡霊のような風景と人物たち。騒がしくもおぞましい、その亡霊たちの歌声を聴け。

『デッドマン』 (1995年作品 121分)
監督:ジム・ジャームッシュ
出演:ジョニー・デップ、ロバート・ミッチャム、ミリー・アヴィタル、イギー・ポップ
音楽:ニール・ヤング
ジム・ジャームッシュが描く、モノクロームの西部劇。死んでいるのか生きているのかもはや判別不能の男の、魂の旅路。それはジャームッシュが常に描き続ける「アメリカ」の歴史=物語でもあり、「アメリカ」の幻影でもある。スクリーンを見ながらギターをかき鳴らし続けたニール・ヤングの魂の波動が、それを支える。

『イヤー・オブ・ザ・ホース』 (1997年 107分)
監督:ジム・ジャームッシュ
出演:ニール・ヤング、クレイジー・ホース、ジム・ジャームッシュ
音楽:ニール・ヤング&クレイジー・ホース
「デッドマン」の後、「ブロークン・アロー」などのビデオクリップの延長線上で作られた、ジャームッシュによるライヴ・ドキュメンタリー。96年のツアーをメインに、彼らの30年の歴史がそこに重ねあわされる。8ミリ、16ミリ・フィルムでとらえられた粗い映像は、そのまま彼らの歴史の姿でもある。

『ココロ、オドル。』(爆音リミックス) (2004年 23分 DV)
監督:黒沢清
出演:浅野忠信
台詞のない、字幕と音響、音楽のみで綴られる他者との融合の物語。雑誌「インビテーション」の付録DVD用に作られたDVによる短編を、爆音用にリミックスして、当日のみの限定上映。

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