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成層圏の映画 『断絶』のオープニングはその「アスファルトの二車線道路」を真上から映したカットである。 ラジオの天気予報だったかニュースだったかが断続的に聞えている。かろうじて 動いていることがわかる程度の運動感覚しか「アスファルトの二車線道路」の映像には備わっていない。 その微かさに、しかし『断絶』のすべては賭けられている。気の遠くなる道のりと耳を聾する爆音と濃すぎる 闇と明るすぎる光とで感覚が麻痺したように、世界をそのような微かさにおいて捉える。これが『断絶』の世界観だ。 あるいはそれを「成層圏の映画」なるジャンルに属する作品と呼べるかもしれない。 俺がある種の映画を勝手にそう呼んでいるだけだが。たとえば『奇跡』『シャイアン』『砂丘』 『勝手に逃げろ/人生』『内なる傷痕』『ラストムービー』『悪魔のいけにえ』『ラブレス』 『ラヴ・ストリームス』『憂鬱な楽園』など。最近では『ジェリー』か。映像の純度が高すぎて呼吸が できなくなるような感覚にこちらを導く作品群。 青山真治「『断絶』をめぐる断章」より抜粋 (DVD『断絶 コレクターズ・エディション』オリジナルブックレット所収) |