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偉大なロック音楽とはまるで魔法のようだ。フーディニの奇術ではなく、恋におちたカップル、
あるいは一流スポーツ・チームに起きるような魔法。バンドのメンバーは完全にシンクロし、
彼らの間に流れる電流、化学反応はまるで目に見えるようだ。それがこのツアーのオン・ステージの
ピクシーズの姿だった。ライヴ以外の部分ではまったく逆だった。お互いに会話を交わすことはほとんど無い、
口を開く時は意味のない、つまらない話だけ。
これは我々にとって映画制作をする過程でものすごく難しいことだった。
ツアーの移動中、何日間もなにも起こらず、夜のライヴのための充電とも言えるようなときを過ごした。よって我々は
別の角度からピクシーズを描かざるを得なくなった。例えばシカゴのアリーナに誰より早く姿を現し、
最前列に陣取るカーラ。彼女はキム・ディールの熱狂的ファンで、カヴァー・バンドをやっている。
撮影されたフッテージを編集担当のトレヴァー・リストウと観ていたとき、素晴らしいテーマが見えてきた。
ピクシーズは、ケリー・ディールが楽屋で言うような<史上最悪のコミュニケーター>なのではなく、
彼らは音楽を通じてコミュニケーションをとっているということ。
彼ら4人は全く異なる人間性を持ち、個人的にも集団としてもサイキックな荷物をかかえ、
人生における位置も違う。そのうえ、バンド以外の生活においてもそれぞれ家族、金銭、
中毒といった様々な問題をかかえている。 たしかに会話こそ少ない。が、いったんライトが
落ちステージに上がると彼らは生き返り、
音楽とお互いをリスペクトしあい、いわば別の次元でコミュニケーションをとっているんだ。
リハーサル、ライヴ、レコーディング、あるいはジョーイと映画のスコアについて話す時、
どんな場面においても、ピクシーズは音楽を通じて活気を取り戻す。我々はHBOのTVシリーズの
Family Bondsの製作中に、ピクシーズの再結成ニュースを聞いた。我々は反射的に最初の
再結成ライヴとなるコーチェラ・フェスのチケットを予約し、オーダーが処理されるのを
待っていた。そこでふとお互い顔を見合わせた。「待てよ、我々は映画製作者だ。
そうだ、ピクシーズの映画を撮ろう。そうすればチケットではなく、バックステージパスがもらえるはずだ。」
さて、ここにそのバックステージパスがある。 スティーヴン・カンター、マシュー・ガルキン(「ピクシーズ/ラウド・クァイエット・ラウド」監督) |